作例というのも大仰ですが、ご参考までに管理人がこれまで実際に対称描画機能を使って描いたものを並べておきます。

ちなみに下に挙げている絵は一部加工にPhotoshopを用いていますが、対称描画機能を用いて描いた箇所以外も線画から色塗りまでほぼ全てNekoPaintで描いています。ネコペ楽しいよネコペ…。

※オリジナルの画像を用意できればよかったのですが、二次創作ばかりです。苦手な方は申し訳ございません…。
そのうち余裕があれば差し替えたい…。

例1:左右対称なアイテム

ページ作成者は普段はRPG系ジャンルで絵を描いているので、文字通り左右対称な剣や武器などを描く際は左右対称機能に大変お世話になっております。

が元の素材です(クリックでやや拡大/荒い)。
柄と刀身を左右対称機能で描いた後、左右対称のチェックをオフにして非対称な部分(鍔と飾り)を描き加えました。

※加工はPhotoshopのフィルターを使っています。

上の例のようにモチーフとして使う場合はそのままで良いのですが、困ったことに実際に武器を持たせる場合は必ずしも正面を向いているわけではありません。

元絵(クリックで拡大)

上の2つの例では左右対称機能で描いた武器の素材にPhotoshopで自由変形を加えてから、それっぽく見えるようにパースを修正しています(それっぽくなのでよく見ると色々と不自然だと思います)。

※最初の例は結局割と隠れてしまったので、別にフリーハンドでも良かった気もします…。

ちなみにNekoPaintでは拡大・縮小や回転はできるのですが、自由変形機能はありません。
GIMPやFireAlpacaはフリーソフトでありながら自由変形機能があるそうなので、使ってみては如何でしょうか。

※今気付いたのですが、2つ目の例は両手剣にしては柄が短すぎますね…縮小しすぎました…。

例2:紋章・縁飾り(左右対称機能)

左右対称を使えば紋章のような模様もラクラクです。回転対称は家紋等を描くのにも使えそうですね。
ライン状の飾りは左右対称機能で描いたパーツをコピー&ペーストで繋げました。

※この頃はまだ分割機能の存在を知らず、また画像をブラシ登録するという発想も無かったようです…。

並べてみると代わり映えがしなくて己の引き出しの少なさに驚いています。

例3:飾り枠(左右対称機能+回転対称機能)

背景に困ったらとりあえず枠を描いておけば良い気がします。
上の例の長方形枠は応用編で紹介した方法(回転対称2+左右対称)で描いたのではなく、最初に正方形(回転対称4+左右対称)で作ったものを上下に切り離してから「回転対称2+左右対称」で長辺の部分を描き加えている気がします。

例4:レースっぽい模様(左右対称機能・回転対称機能)

元の素材(回転対称48+左右対称)
※クリックで原寸

背景に困ったときは回転対称にも非常によくお世話になります。
上の例では右の素材に別レイヤーに描いた空の模様をクリッピングしています。

※ちなみにクリッピングと同様の機能をNekoPaintでは「グループ化」と呼びます。

元の素材(回転対称24+左右対称)
※クリックで原寸/中央を抜いた段階は残っていませんでした

とりあえず回転対称の値を上げて描き込めばレースに見える気がします。
右のような素材も実際に描いた部分は全体の48分の1に過ぎないので、見た目に反して楽に作れてしまいます。
上の例では右の素材を貼った後、濃い目の色で縁を付けることで立体感を出し、もっとレースっぽくならないかと試みた記憶があります。レース本体の部分はレイヤーの透明度を下げています。

例5:花・植物

ほとんどの花は左右対称・回転対称を基にした形でできています。
対称描画機能を使うにはもってこいの材料です。
上の例では梅の花の素材を適当な位置に配置した後で縁取りをしました。

花びらの数

桜の花びらは5枚、梅の花びらも5枚、菜の花は4枚…何となく花によって花びらの数が決まっているなと思ったことはありませんか?

※とりあえず八重咲きは除外して考えましょう。

これは花を描く上で大変重要なポイントです。実は花びらの数だけでなく「がく」や「雄しべ」など、花を構成する要素の数は、花によって決まった数が基準になっていることが多いのです。
例えばサクラの花は「5」という数が基準となっています。

※専門用語ではこの性質のことを「5数性(pentamerous)」と呼ぶそうです。

また、「バラ科」や「ユリ科」など「科」という言葉を聞いたことはありませんか?
「科」というのは簡単に言えば似たような特徴に基づいて生き物をグループ分けする基準の一つです。

※ちなみにヒトは「ヒト科」に属しています。

先ほど説明した「花を構成する基準の数」は科ごとに決まっていることが多いほど重要な特徴です。例えばサクラ、ウメ、リンゴなどは全てバラ科に属しています。これらの花の花弁の数は全て5枚です。バラも一重の品種を見てみるときちんと5枚の花びらを持っています。

何が言いたいかというと「ユリの花びらは6枚」ということです。
先ほどの専門用語を用いるとユリ科やアヤメ科の花は3数性です。よく観察してみると、花びらだけでなく雄しべの数も3の倍数であることが分かります。

※正確には外側の3枚を「外花被」、内側の3枚を「内花被」と呼んで区別します。ユリの外花被はがくが変化したものなので、ユリの花をよく観察してみるとがくが無いことが分かります。

ユリの描かれたイラストを拝見しているとこの花びらが5枚だったり下手をすれば4枚だったりすることがあります。どんなに素敵なイラストでも、花びらの数が違っていればそれは最早ユリでは無いと言っても過言ではありません。この間違いは本当によく見かけます。アニメの背景でもたまに間違っていることがあります。皆さま、どうかユリはユリとして描いてあげて下さい。

※というか一度気付いてしまうと気になってしょうがないのです、私が。

※ちなみに花びらの数は分かりづらいですがチューリップもユリの仲間です。

何かを絵に描こうとする時、観察は欠かせません。これで花を観察する際に注目すべきポイントが一つ増えたのでは無いでしょうか?
回転対称を使って花を描くときも悩まずに済みますね!桜を描く時は回転対称の値を5にしましょう。

※ユリの花自体はあまり正面から描く機会は無いですね…。

回転対称4+左右対称

左右対称

回転対称30+左右対称
→回転対称15+左右対称

作例として使おうと思い色々描いてみたものの、特に使う場所が無かったのでついでにまとめてここで供養しておきます。

※ものすごく関係ない話ですが、クローバー(シロツメクサ)の小葉は実際にはハート型ではなく、雫のような形をしています。どこかで見かけたらぜひ観察してみてください。でもまあ良いのです、ハート型の方が可愛いから。
ちなみに実際にハート型の小葉を持っているのはカタバミという植物です。こちらは常に4枚の小葉を持っているのでいつでも四葉のクローバー状態です。

花びらの数その2

花壇で見かけることの多いパンジーやビオラの花はスミレの仲間です。

※パンジーには「三色スミレ」という呼び方もありますね。

スミレの花は上の例の真ん中のように左右対称で5枚の花びらを持っています。ところがパンジーは1枚1枚の花びらが大きく、上の2枚はほぼ重なって見えることもあるせいか、花びらが4枚として描かれているのをたまに見かけます。ご参考までに申し上げますとパンジーの花びらは5枚です。
先日何かのアニメ作品を拝見していた時も4枚花びらのパンジーが出てきました。背景なので気にならないといえばそうなのですが、一度気付いてしまうとずっと気になってしまいます。困ったものです。

おわりに

最後は話が大幅に横道へ逸れましたが、「出し抜けにNekoPaintを紹介するページ(左右対称・回転対称編)」の内容は以上です。いかかでしたか?NekoPaintを触りたくなりましたか?

一部分だけ描いて反転もしくは回転させる方法と異なり、対称描画機能では描きながら完成形を見ることができるのが最大のメリットです。 しかもネコペの対称描画機能は何と言っても動作が軽い。回転対称の値を最大値の60に設定してもサクサク描けます。 正直この機能のためだけにネコペを導入しても良いのではないかというくらいです。

※いや、こんな風に書くとネコペの作者様に失礼かもしれません…。ホントは他にも紹介したいネコペならではの素敵な機能がたくさんあるのです…あるのです…。特に私は「Ctrlを押している時だけ消しゴム」とバケツツールや自動選択ツールの「隙間を閉じる」が無ければ生きていけません。

※あとあれですよ、レイヤーウィンドウでレイヤーを右クリックしておくと、自動選択やバケツツールの基準をそのレイヤーに指定できるヤツ(なんて呼べば良いんだ…他のソフトでは「参照レイヤー」と呼んだりするアレです)。線画レイヤーを参照先に指定しておけば、色塗りレイヤーに描いている時でも線画を元にバケツで塗りつぶせる!最初に色分けでバケツツール使う時めっちゃ便利です。
一度に一枚しか参照できないけどグループフォルダも参照先に指定できるから、線画をパーツごとに分けて描いていても、全部のレイヤーを突っ込んだフォルダを参照先に指定すれば大丈夫!!

対称描画機能に解説を絞ればすぐに紹介ページ作れるんじゃないかと思い立って作り始めたのですが、隙あらばネコペの便利機能を仕込んでいく姿勢で作っていたら想定以上にページが増えました。突貫工事で作成したので、色々と抜けや間違いもあるかもしれません。しかし、このページがNekoPaintに興味を持って頂くきっかけの一助となれば、一ネコペファンとしては本望です。

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出し抜けにNekoPaintを紹介するページ / 作成者:くろすけ